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コーヒーの主成分「カフェイン」の発見者は誰?

コーヒーの成分として真っ先に思いつくであろう「カフェイン」ですが、いつ頃、誰が、どのようなきっかけで発見したかご存知ですか?

コーヒー以外の飲みものにも含まれているカフェインですが、英語で書くと「caffeine」。その名の通り、“コーヒーに入っている”ものとして登場しました。

眠気覚ましはもちろん、血行促進、脂肪燃焼、利尿作用など、さまざまな効果があるカフェインが見つかった時代のエピソードをご紹介します。

 

1.ドイツの化学者ルンゲの歴史的発見

コーヒー文化が発展した街「ハンブルク」で育った幼少期

世界で初めて、コーヒー豆から「カフェイン」を分離(単離)することに成功したのは、ドイツ人の化学者フリードリヒ・フェルナンド・ルンゲ(フリードリープ・フェルディナント・ルンゲ)でした。

18世紀の終わり頃、ドイツのハンブルクに生まれたルンゲは、コーヒーハウスや教会が数多く建ち並ぶ、コーヒー文化が発展した街で幼少期を過ごしました。

そんな彼が、歴史的発見を成し遂げる化学者となった背景には、ある有名な偉人の存在があったのです…。

 

2.ルンゲの運命を変えた、文豪ゲーテとの出会い

きっかけは、ゲーテがくれたコーヒー豆

化学の道に進むことを決めたルンゲは、ベルリン大学やイエナ大学などで、植物から毒素を抽出する研究に励んでいました。

瞳孔を開く作用のある毒素「ベラドンナ」を発見するなど、分析化学者としての実績を積み始めたルンゲに、ある日、担当教授が一人の人物を紹介します。

その名は、ドイツを代表する詩人・文豪のゲーテでした。

類まれな文才で一世を風靡したゲーテですが、化学や政治の分野にも関心が高く、愛飲していたコーヒーには「生気を生む成分がある」と考えていたそうです。

ゲーテは、才能あふれる若手化学者のルンゲにコーヒー豆を渡し、「この成分をつきとめてみないか?」と問いかけたのです。

 

3.20代半ばで「カフェイン」を発見したルンゲ

熱意ある研究が実を結んだ瞬間

ルンゲはゲーテからもらったコーヒー豆の研究をはじめます。

同じドイツ生まれのゲーテからたくされた課題の解決へ、研究を重ねてきたルンゲの熱意が実を結ぶ瞬間がやってきます。

1819年、世界で初めて、コーヒー豆から白い結晶を分離(単離)させることに成功。この白い結晶こそ、人や動物を元気にさせる成分、コーヒー独特の苦味成分である「カフェイン」だったのです。

その時、ルンゲの年齢はまだ20代半ば。まさに、研究者として大成する歴史的発見でした。

 

【まとめ】カフェインはアルカロイドの一種

植物から毒素を抽出する研究に力を注いだドイツ人化学者のルンゲが発見した「カフェイン」は、アルカロイドと呼ばれる植物由来成分の一種です。

アルカロイドの名前は、アルカリに似た化合物であることを表しており、鎮痛や麻酔の作用は医療現場で使われることも多い成分です。

アルカロイドには、カフェインの他にも、モルヒネ、ニコチン、アトロピン、エフェドリン、コカインなどがあり、いくつか聞き覚えのある方もおられるでしょう。

ちなみに、眠気覚ましに効くといったカフェインの興奮・覚醒作用は、「アデノシン」の効果によるものです。

「カフェイン」が「カフェイン」と呼ばれることになったのは、天才化学者ルングの功績によるものですが、一番最初のきっかけとなったルングとゲーテの出会いを忘れてはいけません。