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馴染みの言葉「カフェ」はフランス語。コーヒー文化が花開くまで

ホリーズカフェの「カフェ」、カフェオーレの「カフェ」、何気ない会話の『カフェでもしよう』の「カフェ」。

私たち日本人に馴染みの言葉「カフェ」は、もともとフランス語でコーヒーそのものを意味する言葉でした。現在では、コーヒーを飲むことができるお店(喫茶店)を表す言葉として日常会話に登場します。

コーヒー豆の発見から、コーヒーが飲み物として人々に愛され、世界中に浸透するまでに大きな役割を果たしたのが、多くの人が集い、憩う、「カフェ」の存在です。

現在のカフェや喫茶店がどのようにして生まれ、発展し、今日に至る礎を築いたのか。歴史の一端を紐解きながら解説します。

 

1.世界初のコーヒーハウスがトルコに誕生

エチオピアやアラビアを起源とし、イスラム諸国へと広まっていったコーヒー。普及した当時は、コーヒー豆を石臼で挽いて煮出して飲む方法が一般的でした。

各国の伝記によると、コーヒー豆そのものを販売する専門店が1510年代にエジプトのカイロに誕生。1550年代半ばには、トルコのコンスタンティノープル(現イスタンブール)に世界初のコーヒーハウスが2店舗開業しました。

現在のシリア・アラブ共和国出身の店主2人は、コーヒーの味を競うだけでなく、店内の調度品や装飾にもこだわり、トルコの人々の憩いの場として定着したのです。

 

2.ヨーロッパへの普及はイギリス・ロンドンから

中東のアラブからヨーロッパへコーヒーが普及するきっかけを作ったのも、コーヒー文化が大きく花開いたトルコ出身のパスカ・ロゼでした。

トルコ人貿易商とともにイギリスの首都ロンドンを訪れたロゼは、1652年にヨーロッパ初のコーヒー店を開業。そこで振る舞われるコーヒーは、瞬く間に人々の評判を呼び、連日大賑わいとなったのです。

このロゼのお店が、喫茶店の原型と言われています。当時の流行の最先端であったロンドンに数多くのコーヒー店が誕生するきっかけを与えたロゼの功績は、コーヒーの歴史を語る上で欠かせないトピックです。

 

3.“カフェ”発祥のフランスで始まったドリップ抽出

コーヒー屋さんの通称として日本人に馴染みの「カフェ」の言葉が生まれたフランスでも、コーヒーは多くの民衆の心をつかみ、大人の社交場となるコーヒー店がパリを中心に次々と誕生します。芳醇な香りと風味のコーヒーを提供するフランスの喫茶店は、文化人が集う場所として認知されはじめたと言います。

そして、「コーヒーのフランス革命」とも呼ぶべき、新しい抽出方法「ドリップ式」が生まれました。それまでの“煮出す”から、コーヒーの香りと旨味を最大限抽出する“漉す”方法(布で濾過するネルドリップ)を考え出したのは、名もない一人のブリキ職人でした。

コーヒーの発見から時代を経て、西欧で花開いたコーヒーを美味しく楽しむ文化。日本に定着した「カフェ」発祥の地フランスでのドリップ式抽出は、全世界へのコーヒーの普及を加速させたのです。

 

【まとめ】日本最初の“喫茶店”は東京台東区の「可否茶館」

江戸時代、長崎出島にオランダ人がもたらしたコーヒー。国内に広く普及し始め、多くの人に認知されるきっかけとなったのは、日本初の喫茶店の開業でした。

時代は明治初期の1888年。場所は東京都台東区下谷。お店の名前は「可否茶館」でした。

現在、コーヒーの漢字は「珈琲」が一般的ですが、当時は可否・架非・加非などの字が当てられいたのです。

自身の家を改装して「可否茶館」立ち上げた鄭永慶(ていえいけい)は、上流階級の人々だけでなく、一般庶民にも知的な文化交流の場を提供したいと考え、日本初のコーヒー専門店を開店。各国の新聞や書籍や娯楽品の揃う画期的な場所でしたが、残念ながら3〜4年後に幕を下ろしてしまいます。

「カフェ」を冠するお店が登場するのは明治の終わり頃。本格的にコーヒーが日本人に愛され始めたのは、まさにこの頃でした。

日本初の「可否茶館」はもちろん、トルコもイギリスもフランスも、コーヒーを提供するお店の始まりによって、次第にコーヒーが一般大衆に親しまれる飲み物となったことは、言うまでもありません。