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「スペシャリティコーヒー」って、一体どこが「スペシャル」なの?
2020.2.27
「スペシャリティコーヒー」または「スペシャルティコーヒー」。近頃、よく耳にしませんか?
なんだか高級そうな言葉の響きですが、最近ではコンビニでも、少し値段をプラスすれば誰でも手軽に飲むことができるようになりましたよね。
このスペシャリティコーヒー、普通のコーヒーと比べて、一体どんなところが「スペシャル」なのか、皆さんはご存知ですか?
今回は、スペシャリティコーヒーという名称が生まれたきっかけ、スペシャルと認められるための基準などをご紹介します。
1.スペシャ『リ』ティと、スペシャ『ル』ティ、どっちが正解?
どちらの呼び方に馴染みがありますか?
スペシャリティコーヒーのあれこれをご紹介する前に、そもそもの呼び方・書き方の問題を解決しましょう。
皆さんは、「スペシャリティコーヒー」と「スペシャルティコーヒー」のどちらに馴染みがありますか?どちらが違和感なくスッと耳に入ってきますか?
呼び方が2つあるこの問題。実は、どちらが正解で、どちらが間違いというものではないんです。発音の違いだけで、どちらも正解なんです。
イギリス発音か、アメリカ発音かの違い
呼び方・書き方が2通りあるのは、「スペシャルティ」と発音するイギリス読みを意識するか、「スペシャリティ」と発音するアメリカ読みを意識するかの違いです。
どちらを使わなければいけないという決まりはありません。
この後にご紹介する「日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)」は、「スペシャルティ」と名乗っていますが、多くの人の耳に馴染みがあるのは「スペシャリティコーヒー」の方ではないでしょうか?
2.「スペシャリティコーヒー」の生みの親とは?
アメリカのエルナ・クヌッセンがこだわった「生豆の個性」
実は、スペシャリティコーヒーは、つい最近のものではありません。
1978年、アメリカの「クヌッセン・コーヒー」の女性社長であり、コーヒー鑑定士として活躍していたエルナ・クヌッセンが、コーヒー国際会議の講演で「スペシャリティコーヒー」の言葉を使ったのが始まりです。
今から40年以上前に、彼女が定義した「スペシャリティコーヒー」とは、「特別な地理的条件から生まれる、特別な風味のコーヒー」でした。
コーヒー鑑定士だったこともあってか、クヌッセンがこだわったのは、「生豆の個性」の評価。その後、コーヒーの品質や消費量の向上のために、コーヒー関係者に対して「スペシャリティコーヒー」という名称を使ったPRが始まったんです
3.各国に存在する「スペシャルティコーヒー協会」
日本でも2003年に協会が発足
エルナ・クヌッセンの提唱から始まった「スペシャルティコーヒー」の存在が、広く知れわたるきっかけとなったのは、1982年にアメリカで「スペシャルティコーヒー協会(SCAA)」が設立されたことでした。
この時から、高品質な豆の評価基準が明確化され、しっかりと定義づけされた「スペシャリティコーヒー」が普及し始めます。
世界各国に同様のスペシャルティコーヒー協会が存在しており、日本にも、2003年に「日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)」が設立しました。
4.SCAJによる「スペシャリティコーヒー」の基準とは?
評価方法は「減点方式」から「加点方式」へ
「スペシャリティコーヒー」の概念が生まれる前、コーヒー豆の価値を判断する基準は、ブラジル方式である減点方式が主流でした。
「スペシャリティコーヒー」という概念が登場してからは、その評価基準は180度方向転換。アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)による「スペシャリティコーヒー」の認定基準は、要素ごとに点数をつける加点式での採点となりました。
加点方式は、減点方式よりも、品質の高さと豆の個性が評価されやすいという特徴があります。この採点基準は、各国の協会によって異なりますが、ここでは、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が定義づけている採点基準をご紹介します。
「From seed to cup」の原則
「スペシャリティコーヒー」の評価基準は、「From seed to cup」の原則が用いられます。
日本スペシャルティコーヒー協会のホームページによれば、
「カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。」とされています。
そして、「スペシャル」と認められるかどうかの評価は、次の7項目で判定されます。
1. カップ・クォリティのきれいさ
2. 甘さ
3. 酸味の特徴評価
4. 口に含んだ質感
5. 風味特性・風味のプロフィール
6. 後味の印象度
7. バランス
これらすべての評価基準をクリアしたコーヒーに、「スペシャリティコーヒー」の称号が与えられるのです。
5.リラックスタイムに、ちょっとの贅沢を
「スペシャリティコーヒー」は、アメリカのエルナ・クヌッセンが40年以上前に提唱し、その後の「アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)」の設立によって、広く普及していきました。
コーヒー豆そのものの化学成分の分析などではなく、人の目や舌など五感すべてを使った「加点方式」で評価されていることが特徴で、一見、味とは関係なさそうにも思えるカップのきれいさも採点対象に含まれています。
いつも飲んでいるノーマルのコーヒーも、リラックスタイムにピッタリですが、たまには、ちょっとだけ贅沢して、「スペシャリティコーヒー」を味わってみるのも、いかがでしょうか?