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【1人当たりのコーヒー消費量】世界で1番コーヒー通が集まるのは北欧地域

もう少し頑張りたい時、気分転換をしたい時など、忙しい現代人にとってコーヒーブレイクは必要不可欠です。1日の様々な場面でコーヒーを飲む機会が多い私たち日本人ですが、世界で一番、一人あたりのコーヒー消費量が多い場所はどこかご存知ですか?

なんとなくのイメージから、コーヒー原産国として有名なブラジルコロンビア、エスプレッソ発祥の地であるイタリア、「アメリカンコーヒー」の響きに引っ張られてアメリカと答える人が多そうですが、実は、世界で一番コーヒー通が多く暮らすのは「北欧地域」なんです!

今回は、一人あたりのコーヒー消費量の上位を独占する北欧の人々の習慣や、コーヒーが好まれる理由をご紹介します。

1.国民1人当たりのコーヒー消費量上位は北欧諸国がズラリ

コーヒー好き、コーヒー通が集まるエリア

国際コーヒー機関(ICO)が統計を取り、全日本コーヒー協会が公開している「世界の一人当たりのコーヒー消費量」のランキング(2013年)で、上位に名を連ねる“神セブン”の国々はこちらです。

 第1位:ルクセンブルク
 第2位:フィンランド
 第3位:ノルウェー
 第4位:デンマーク
 第5位:オーストリア
 第6位:スイス
 第7位:スウェーデン

ご覧の通り、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンの北欧4ヵ国が、上位7番目までにズラリと並びます。コーヒー好き、コーヒー通の人々が北欧地域に多いことは一目瞭然です。

ご紹介したランキングが2013年時点であるのには理由があり、2014年以降、情報収集をするICOがEU(ヨーロッパ連合)をひとくくりにしてしまったからです。それ以降の詳細なランキングは分からなくなってしまいましたが、順位の変動はあれど、この7ヵ国がコーヒー消費大国であることに変わりはありません。

日本は一体、何位にランクイン?

ちなみに、2013年のランキングで日本は世界第何位だと思いますか?
ランキングの続きを見てみましょう。

 第8位:ドイツ
 第9位:ベルギー
 第10位:ブラジル
 第11位:オランダ
 第12位:イタリア
 第13位:コスタリカ
 第14位:アメリカ合衆国
 第15位:日本

この通り、日本は世界で15番目。これでも世界中の国々では十分上位です。

2014年以降、日本の一人当たりのコーヒー消費量は徐々に伸びていますが、ランキング上位のルクセンブルクや北欧諸国との差は歴然です。

2.ヨーロッパの小国「ルクセンブルク」がどうして世界一?

住む人の国籍も、店舗に並ぶコーヒーも、国際色豊か

北欧地域でコーヒーがたくさん飲まれている理由を語る前に、ヨーロッパの小国「ルクセンブルク」がランキング1位の理由が気になりますよね?

ルクセンブルクは、フランス、ドイツ、ベルギーに囲まれた場所にあります。世界的な企業が欧州の拠点を置いていることもあり、170ヵ国以上の国籍の人が暮らしている国際色豊かな国です。

国境を超えて通勤してくる人も数多く、それ故に、ルクセンブルクのスーパーマーケットなどには世界中のコーヒー豆が勢揃いしています。

ルクセンブルク人がたくさんコーヒーを飲んでいる訳ではない!?

また、周辺の国と比べて税率が低いこともコーヒーの需要が高まった理由の一つです。同じ種類のコーヒー豆が安く買えるのなら、少し足を運んで、品揃え豊富なルクセンブルクで購入しようという人がとても多いのです。

一人あたりのコーヒー消費量で圧倒的世界一に輝くルクセンブルクではありますが、“ルクセンブルク人がたくさんコーヒーを飲んでいる”という訳ではないというカラクリがあります。

3.北欧地域でコーヒーが愛されている理由

コーヒーを飲むことは昔ながらの習慣・文化

国民一人当たりのコーヒー消費量ランキングで、北欧のフィンランド、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンが上位を占めている理由はいくつかあります。

それは、“寒い国だから温かいコーヒーが好き”という単純なものではなく、日本でお茶が、フランスでワインが、イギリスで紅茶が広く愛されているように、北欧では“コーヒーを飲むこと”が昔ながらの習慣や文化として根づいているのです。

日照時間の短さをコーヒーの薬理効果でカバー

緯度の高い北欧地域は、日照時間がとても短いため、例えばフィンランドの冬の日照時間は6〜8時間しかありません。私たちは、太陽の光を適度に浴びなければ、健康のために必要なビタミンDなどの栄養素が生成できず、体調はもちろん、精神的にも落ち込んでしまいます。

日照時間が短い北欧の国々では、興奮・覚醒作用のあるカフェインを多く含んだコーヒーを、喉の乾きを潤す飲み物としてだけでなく、心身の健康を保つための飲み物として頻繁に口にしています。

すぐに日が暮れ、なかなか夜が明けない場所でも、気持ちは明るく保てるように、薬理効果のあるコーヒーを愛していると言えるでしょう。

コーヒーの薬理効果は戦後復興にも役立った!?

第二次世界大戦で、ソ連との不可侵条約を破られたフィンランド、同じくソ連に保護占領されたノルウェーやデンマークなど北欧諸国は、実質的敗戦国となりました。

戦争で大きく傷ついた街並みを復興させるには、国民の結束力や労働力が必要不可欠でしたが、その際にも、コーヒーに含まれるカフェインの眠気覚まし作用や、集中力向上などの薬理効果が役立ったと言われています。

今も北欧の人々の日常文化として残る、フィンランドの「カハヴィタウコ」、スウェーデンの「フィーカ」などコーヒーブレイクの時間は、もともと労働者の権利として認められたものでした。

北欧諸国のアルコール事情がコーヒーの消費量拡大に影響

スウェーデンやフィンランドでは以前、飲酒が社会問題となり、蒸留酒の製造が禁止されたり、販売できるお酒にアルコール度数制限があった時代がありました。

寒い気候の北欧は、身体を温め、リラックス効果のあるアルコールの消費量も多い地域です。にも関わらず、飲みたいお酒が飲めないとなれば、お酒の代わりとなる嗜好品への需要が自ずと高まりました。

仕事の休憩中や、食後の団らんに楽しむ飲み物、寒い季節は身体を温める飲み物として、手軽なコーヒーがアルコールの代役を果たしたのです。

4.北欧で流行のコーヒーの飲み方は、高級豆を浅煎りで抽出

酸味とフルーティな香りが際立つコーヒー

コーヒーブレイクの時間が歴史的な文化として根づき、多くの人にコーヒーが愛されている北欧地域ですが、味わい方にも特徴があります。

今、北欧で流行しているコーヒーの飲み方は、フレッシュで品質の高いコーヒー豆を浅煎りで抽出する方法です。浅煎りのコーヒー豆は、苦味よりも酸味が際立ち、豆本来のフルーティな香りを楽しむことができます。

日本のカフェや喫茶店のメニューで言うところの「アメリカンコーヒー」のような味わいなので、お茶のような感覚でたくさん飲みやすく、何倍飲んでも飽きにくいコーヒーと言えるでしょう。