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インスタントコーヒーを発明したのは日本人って本当!?
2020.1.28
時間のない朝や来客時など、手軽に、素早く、おいしいコーヒーを淹れたい時に大活躍するのがインスタントコーヒーですよね。
別名「ソリュブルコーヒー」(ソリュブル:水に溶ける)と呼ばれるインスタントコーヒーは、お湯や水に溶かすだけですぐに飲める便利さだけでなく、抽出後にコーヒー豆のカスが残らないというのも嬉しいかぎりです。
そんな、私たちにとって身近なインスタントコーヒーを発明した人物が、「私たちと同じ日本人だった」という説があることをご存知ですか?
今回は、インスタントコーヒーの発明者や主な製造方法についてご紹介します。
1.インスタントコーヒーができるまで
お湯や水を注ぐだけで風味豊かなコーヒーを飲むことができるインスタントコーヒーの製造方法には、大きく分けて2種類の方法があります。
① スプレードライ製法
コーヒーの抽出液に高温の熱風を吹きつけて水分を飛ばし、コーヒー成分を結晶化する方法が「スプレードライ製法」です。
熱して結晶化したインスタントコーヒーは粒が粉のように細かくなり、お湯や牛乳などの液体にすぐ溶けます。
生産には大規模な設備が必要になりますが、比較的安価に作ることができるので、大量生産に向いている製法です。
②フリーズドライ製法
コーヒーの抽出液を超低温で冷却し、真空状態にして水分を昇華させる方法が「フリーズドライ製法」です。
熱の影響を受けないので、スプレードライ製法と比べてコーヒーの風味や香りが失われにくいメリットがあり、水分の除去と真空状態によって長期保存にも向いています。
2.インスタントコーヒーの発明者は日本人!?
家庭やオフィスでのコーヒーブレイクが手軽になり、コーヒーの存在がより身近になるきっかけにもなったインスタントコーヒーって、いつ頃にできたものなのでしょうか?
また、この便利なインスタントコーヒーの発明者は、一体誰だったのでしょうか?
実は、このインスタントコーヒーの発明に、私たちと同じ日本人が深く関わっていたとの説があります。
説その1 日本人科学者の加藤サトリ(サルトリ)による発明
1899年、アメリカのシカゴに在住していた日本人科学者の加藤サトリ氏は、緑茶を粉末化する実験の途中に、コーヒーへの応用をひらめきます。
スプレードライ製法を用いて緑茶を粉末化する技術を活かした実験の結果、コーヒーの抽出液の粉末化に成功。その後、1901年にニューヨーク州で開かれた「パンアメリカン博覧会」に、世界初のインスタントコーヒーを発表します。
商品化されなかった加藤氏考案のインスタントコーヒー
加藤氏は、1903年に自身が考案した製法の特許を取得しますが、残念ながら「コーヒー特有の香りに欠ける」との理由で、それほど注目されなかったそうです。
また、その当時に飲まれていたコーヒーはレギュラーが定番で、なかなか一般には浸透しないだろうとの予想から、加藤氏発明のインスタントコーヒーは商品化されませんでした。
3.大量生産がはじまったのは1909年から
アメリカ人発明家ジョージ・ワシントンによる発明
加藤氏の特許取得から3年後の1906年、アメリカ人の発明家ジョージ・ワシントンが、スプレードライ製法を改良した別の方法でインスタントコーヒーに関する新しい特許を取得します。
ワシントンが発明したインスタントコーヒーは、1909年に『ベルナ』という商品名で大量生産が始まりました。
手軽な飲み物が戦地に赴いた兵士たちを癒やした
商品化して間もない頃、『ベルナ』が重宝されたのは、第一次世界大戦中の戦地でした。
過酷な戦地で手軽にあたたかいコーヒーが飲めることは、心身ともに疲れきった兵士たちを癒やしたのです。
インスタントコーヒーの魅力を知った彼ら兵士は、戦地から母国へ帰る際に『ベルナ』を持ち帰ります。これによって、インスタントコーヒーの存在は一般の人々にも普及していきました。
4.どのタイミングを“発明”と呼ぶか…
加藤説とワシントン説の両方が残る理由
現在、インスタントコーヒーの製造方法には、「スプレードライ製法」と「フリーズドライ製法」の2種類がありますが、日本人の加藤サトリ氏が世界で初めて発案した製法は、スプレードライ製法によるインスタントコーヒーでした。
年代だけで言えば、加藤氏の発明が世界初と呼べるのですが、アメリカ人発明家のジョージ・ワシントン説も根強く残る理由には、実験成功か、特許取得か、製品化成功かなど、どのタイミングを「発明」と定義づけるかにさまざまな意見があるようです。
ただ、今日世界に普及しているインスタントコーヒーの発明に日本人が関わっていることはまぎれもない事実です。
その歴史を知ると、なんだか、インスタントコーヒーにより親近感がわくような気がしませんか?