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【苦味を科学する】苦いのになぜおいしいと感じるのか

私たち大人が毎日おいしそうにコーヒーを飲んでいる姿を見て、子どもたちに不思議がられた経験はありませんか。
確かに思い出してみれば、私たちも子どもの頃からコーヒーが美味しく感じたわけではなく、大人になってからあの苦味を楽しめるようになったはず。
でもどうして、私たち大人は子どもの時には苦手だったはずの苦味を、すっかりおいしいと感じているのでしょうか。
本記事では、そんな「苦味」についてご説明します。

味覚の仕組み

味細胞からなる味蕾(みらい)が、食べ物や飲み物に含まれる化学物質を感知することで脳に信号が伝わり、味を認識することができます。
舌には味蕾がなんと数千個あると言われています。
その味蕾を通じて感じることができる味には、「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」の5種類があると言われています。
うま味は1809年に日本人によって発見されましたが、それまでは4味が基本と考えられていました。

以前は舌の場所によって感じることのできる味が違うという「味覚地図」が提唱されていましたが、現在では大方その説は否定され、どの味蕾でも5味を感じることができると考えられています。

苦味は毒センサー

かつての人間は、食べ物の見た目や種類では安全性を判断できなかったため、苦いと感じ吐き出させることで身を身を守るという一種の「毒センサー」として発達しました。
ちなみに酸味は「腐敗センサー」として発達したと考えられています。

どんな食べ物より苦いゲームのカートリッジ!?

小さい子どもなどが小さいものを口に入れてしまうと危険です。
そこで誤飲防止のために、ニンテンドースイッチのゲームのカートリッジにはその苦味がギネスにも記録されている世界一苦い化学物質「デナトニウム」が塗られています。
人体には影響がないとのことなので筆者も試しに舌先が触れる程度なめてみたのですが、これが経験したことのないような苦味で、1時間ほどはその苦味が口から取れないほどでした。
子どもにトラウマを植え付けないで済むように、小さい子どもの手が届かない場所で保管するように気をつけましょう。

コーヒーの苦味はカフェインによるもの

コーヒーの苦味はカフェインによるものです。
他にビールには、イソフムロン、ゴーヤはククルビタシンなどが苦味を感じさせる代表的な化学物質になります。
これらの多くは植物由来であり、植物が人間を含めた動物から身を守るために葉や果実などが苦味を作り出したとされています。

経験が苦味をおいしさに変える

大人になるにつれてカフェインの覚醒作用や代謝促進などさまざまな効能を理解したり、コーヒーを飲んでも健康を害するわけではないということを知識として身につけたり、その食べ物や飲み物が「安全だ」ということがわかると次第に苦味がおいしさに変化していくのです。
苦味の好き嫌いが多いのは、このように経験によるところが大きいからなんですね。

いかがでしたでしょうか。

ブラックコーヒーが苦手な方も、もしかするとそもそもコーヒーを飲んだ経験がなく飲まず嫌いをしていたり、コーヒーに関する様々なポジティブな健康効果を知らなかったりするといったことがあるかもしれません。
こちらのトピックスではコーヒー通向けの記事だけでなく、コーヒーが苦手な方の克服方法や様々な健康効果など、多岐にわたるコーヒーの知識を毎月ご紹介させていただいております。
コーヒーが苦手な方にもぜひこちらのトピックスをお役立てくだされば幸いです。